青森県
「青森県」というとりんごを思い浮かべる方が多いでしょう。日本海、津軽海峡、太平洋と3つの海に囲まれている青森県は、多種多様な魚と、貝類、海藻類が豊富に水揚げされている水産県でもあります。漁獲量としては全国6位、内水面の漁獲量は全国3位で全国の12%を占めています。陸奥湾では特にホタテの養殖が盛んで全国に流通しています。

絶品の海の幸(生雲丹)

佐井村は白い火山岩の断崖からなる「仏ヶ浦」という奇勝で知られています。巨大な仏像が並んでいるように見える白い奇岩群のインパクトは圧巻ですが、海岸から海を覗き込むと、透明な海の底に何匹ものウニが見えることにも驚かされます。大盛りのうに丼で名を馳せる「ぬいどう食堂」をご存知の方もいるかもしれませんが、民宿の料理も負けてはいません。皿の数、料理の多さに加えて、何よりも目を引くのは山盛りのウニ。棘付きのウニ自体、なかなか目にすることができないと思いますが、それが惜しげもなく並べられた一品は佐井村ならではと言えます。ウニだけで満腹になりそうですが、他にもエビ、サザエ、カニ、ホタテ、お刺身など、青森県の海の幸が満載です。
岩手県
全国有数の米どころである岩手県は、古く弥生時代から稲作が伝わっていましたが、「やませ」による冷害、また自然災害により、米の収穫は安定していなかったそうです。そこで、米以外のアワ、ヒエ、キビといった雑穀類や、小麦、大豆、ソバなどを栽培するようになったという背景から、岩手県で粉食文化が広まることになりました。 「穀物は粉にされ、こねることでさまざまな種類の食事やお菓子に形を変えた。岩手の言葉で「こねる」ことを「しとねる」と言う。そこから、このような料理は「しとねもの」と呼ばれ、多種多様な「しとねもの」が人々の生活を彩った。」(東北地方 岩手県 | うちの郷土料理:農林水産省 より )そんな岩手県の風土に由来する、岩手県の郷土料理をいくつかご紹介します。
岩手県の県民食「はっと」

「はっと」と手作りの田舎料理

小麦粉の生地をちぎって鍋にいれます
小麦粉に水を加えて良く練り、熟成させて薄くのばした生地を茹で上げる小麦粉料理で、地域や家庭ごとに調理法と料理名が異なります。現代では、カレー味や洋風、中華風、デザート風など色々な味にアレンジされ、幅広い年代に愛されています。 「ほろはの家」では家庭料理としての「はっと」を食べることができます。練った小麦粉の生地を手で伸ばしてちぎって鍋に入れます。「ひっつみ(「ひっつまむ」より)」、「とってなげ」の名はこのような調理法に由来しているようです。
- ほろはの家(岩手県一関市)

縁側でくつろぐホストご夫妻
築150年の古民家を改修した家屋を農家民宿として運営されている宿泊施設です。 外国人観光客の利用も多く、古民家の雰囲気や日頃見かけることのない囲炉裏、気さくなホスト様ご夫妻のおもてなしと得意料理の「はっと」をはじめとする田舎料理が評判です。
まめぶ汁

白い丸い団子がまめぶ

中にくるみと黒砂糖が入ります
「あまちゃん」で登場して知られるようになった「まめぶ汁」は、小麦粉のお団子にくるみが入った「まめぶ」と、野菜を醤油ベースのスープで煮込んだ郷土料理です。団子の中に黒砂糖を入れることもあり、醤油味と黒砂糖の甘みを同時に味わえるという珍しい汁物です。
山梨県
東京都に隣接した山梨県は首都圏を構成する県ですが、富士山をはじめ、南アルプス、奥秩父山地など国内屈指の名峰に囲まれており、山岳地が面積の8割を占めています。美しい渓流や湧き水にも恵まれ「天然の水がめ」とも呼ばれ、山梨県で採水されるミネラルウォーターの生産量は日本一です。
甲州ワイン

山梨県は日本のワイン発祥の地でもあります。県内各地に約80社のワイナリーがあり、ぶどうの栽培に適した山梨県の気候風土と、ぶどうの栽培にこだわった甲州ワインは世界的な知名度を誇ります。
- Y's village 福生里(山梨県甲州市)

Y's village 外観

リビングの様子
山梨の富士山の眺望と甲州ワインを楽しむのに最適な施設が「Y's village 福生里」です。こちらの施設は貸別荘となっていますが、徒歩5分の至近距離にワイナリーがあり、またディナーはレストランのケータリングサービスを利用できるため、上質な空間でレストランの食事と甲州ワインを楽しめるという贅沢な非日常感を楽しめます。 富士山の眺望も素晴らしく、全身で山梨の魅力を味わうことができる施設と言えるでしょう。
精進料理
山梨県南西部から静岡県北部にまたがる身延山地にある身延山は日蓮宗総本山の久遠寺があり、日本仏教三大霊山の一つとして知られています。鎌倉時代に日蓮が入山してから750年以上にわたり信仰の聖地となっており、子院である坊が団体参詣の宿泊施設としての役割を担ってきました。現在においても、20の坊が宿坊として宿泊客を受け入れています。
宿坊で提供されるのが精進料理です。仏教の戒に基づき野菜や穀物などの植物性の食品のみを使って調理される料理で、栄養バランスにすぐれた低コレステロールの理想的な食事として注目を集めています。

新潟県
新潟県の農業生産額の中で、米は全国トップ。日本一長い信濃川をはじめ、多くの川が肥えた土と豊かな水を運んでくるため、豊かな平野が生まれました。
新潟は豪雪地帯ですが、この冬の間の雪が稲作に必要な水を供給し、また冷害や台風も少ないため、これらの条件が米作りに適していたということです。
自慢の米

日中と晩の寒暖差がさらにお米を美味しくしてくれています

自然豊かな山古志の棚田
新潟では個性豊かな米の品種・ブランド米が作られています。令和3年の水稲うるちの銘柄数は40で堂々の全国1位(全国平均は19)です。料理に合わせて最適な品種を選ぶ、ということも 新潟米であれば可能です。また、新潟米はいずれも優れた炊飯特性を備えています。例えば、精米重量から炊きあがり重量への増加率を現す炊き増え率、甘み、粘りを現す味度値、経時変化を現す食味値については最良の数値に近い品種も多いそうです。ただ米作りに適した環境というだけでなく、お米を美味しくするための米農家の皆さんの努力と工夫を感じますよね。
画像は、長岡市の農家民宿「三太夫」の自然豊かな山古志の棚田で育てたお米です。生活排水の入り込まない山から湧き出た水と雨水だけを使い、農薬は限りなく少なくし、乾燥は天日干しで行い丹精込めて作っています。田んぼは山間地にあるため、日中と晩の寒暖差がさらにお米を美味しくしてくれています。
奈良県
四方を山に囲まれた奈良盆地。平安京に遷都されるまで、日本の宮都の多くはここに位置していました。その長い歴史を反映して、社寺、古墳、御陵等、数多くの文化遺産が存在しています。その境内や周辺地域の樹林の多くは保護され、自然林のまま残っているそうです。
千年以上の昔に、日本の中心地として栄え「国のまほろば」と讃えられたこの地域には、今は四季折々の変化を見せる豊かな自然とのどかな田園風景が広がっています。
薬膳料理
奈良の茅葺古民家をリノベーションして「薬膳民泊」を運営している施設が「里山文庫」です。
「薬膳料理とは、中国伝統医学(中医学)の基本理論にのっとって施膳する、食事療法を兼ね備えた料理方法」(日本中医食養学会のホームページより)だそうですが、ホストさんはオランダの農大でアジアの伝統農法を研究し、ブータン、インド、台湾の村を尋ね歩き、保存食や植物利用の知恵を学び、奈良の古民家で薬膳民泊をオープンしたそうです。


「里山文庫」のホストは薬膳と発酵の知識を取り入れ、地元の季節の食材を用いてメニューを構成しているそうです。
(メニュー例)
- 4月:春キャベツごはん、白身魚蒸し、ベジ餃子
- 5月:茶粥、エビの緑茶炒め、お茶卵
- 6月:ハトムギご飯、発酵たか菜のハンバーグ、筍スープ
- 7月:海南ライス、金針菜のスープ、杏仁豆腐
- 8月:魯肉飯、ゴーヤとパイナップルのスープ、豆豉炒め
- 9月 :蓮葉飯、腐乳鶏、豆腐ようキムチ、麻婆豆腐
- 10月:銀杏ご飯、ベジ獅子頭、白菜の漬物
- 11月:おこわ、薬膳鍋、よっぱらいチキンロール
- 里山文庫(奈良県天理市)
奈良盆地の東縁を南北に走っているのが、「日本最古の道」と言われる「山辺道(やまのべのみち)」。『古事記』『日本書紀』(記紀)の記述より、4世紀には既に整備されていたと考えられており、弥生時代後期には既に存在していたことが推測されています。道沿いに数多くの古墳が残されているこの道は、現代においてもハイキングコースとして親しまれ、訪れる人々を古代のロマンへいざなってくれます。

屋内の様子1

屋内の様子2
「里山文庫」はこの「山の辺の道」の近くにある古民家宿です。 庭には四季折々の植物が咲き、エディブルフラワーや薬膳茶など、植物を日々の暮らしに取り入れています。食べ物を作ること、植物や暮らしの知恵を伝えていきたいと考えているそうです。
広島県
全国に比べて山地が多く、土地の大部分は森林に覆われている広島県。 生息する動物の種類も多様ですが、一方でイノシシやシカなどの野生動物による農作物の被害にも悩まされてきました。そこで、駆除した野生動物を、安心・安全・高品質なジビエ肉として提供する試みが始まっています。
東広島市には「栄肉」というイノシシ肉のブランドがあり、臭みがなく柔らかいと評判でスーパーや飲食店での取り扱いが急増したそうです。また、栄肉含む地元の食材を使った新定番メニューの開発に市から補助金が出るそう。中国山地の真ん中に位置する庄原市は、広島県の中でも森林面積の多い自然豊かな場所ですが、庄原のジビエ工房では国産ジビエの認証を取得し、安心、安全のジビエを提供する努力を続けています。
猪鍋

肉質、味わいが豚肉に似ている猪肉は、古くから鍋料理として活用されてきました。兵庫県の郷土料理のひとつに「ぼたん鍋」があります。写真の鍋は、庄原市の「百姓庵 紡」で食べることのできるイノシシ鍋です。昔ながらの田舎料理としてのジビエを味わうことができます。