2025年2月にオープンしたばかり。林業歴約30年間・チェーンソー資格講師歴8年というホストが営む、広島県山県郡北広島町にある太田屋。ここではきこり体験をはじめとしたユニークなアクティビティをご用意しています!
「自然とふれあう体験」をお探しの方に、大変オススメの宿です。豊かな森に囲まれたこの地で体験できるのは、なんと“きこり”のお仕事。チェーンソーの音、木の香り、森に差し込む光――都会では得られない感覚に包まれながら、林業のリアルに触れてみませんか?
「伐った木で薪を割り、炭を作り、七輪で焼肉を焼いて食べる」という満足感を皆様にも体験してもらいたい!と語るホスト。ホストがきこり体験を通して皆様に伝えたい想いとともに、宿の魅力を存分にご紹介します。
きこり体験の他にも、薪割りや五右衛門風呂など、自然と共に暮らす時間が待っています。大人も子どもも、五感で森を感じる旅へ。新しい“学び”と“発見”がきっとあります。

STAY JAPAN:
民泊を始めたきっかけは何ですか?
ホスト:
6年前、他地域で仕事をしていた際、空き家が朽ち果て、人の気配がない集落を目の当たりにしました。もしかすると、自分が暮らす地域も同じ道をたどるのではないか。そう想像し、危機感を抱きました。
「地域の児童数を100人に!」という目標を掲げ、仲間とともに地域活性化団体「100プロ」を立ち上げました。活動を続ける中で、地域おこしは“ボランティア・ビジネス・行政”が同じ方向を向いてこそ成功するものだと実感。私自身も、林業を軸にビジネスとして地域を元気にできないかと考えるようになりました。
この地域は、島根県との県境に位置する山間の町。かつてはスキー場や温泉が3つもあるにぎやかな観光地でしたが、現在ではすべて閉鎖。宿泊施設も減り続け、観光地としては厳しい状況です。さらに、林業の担い手不足により山の荒廃も進んでいます。
「林業をやろう」と言っても、すぐに担い手が見つかるわけではありません。だからこそ、今、自分にできることを始めようと決めました。長年携わってきた林業の知識、地域の子どもを増やしたいという想い、そして数年前に購入していた空き家――これらを活かして、“木に触れる体験”を通じて林業の魅力を知ってもらえる場所をつくろうと考えたのです。
令和5年からは広島工業大学の学生に設計を依頼し、地元工務店と共に改修を進めてきました。学生や100プロの仲間、地域の方々、広島県観光連盟、行政、そしてクラウドファンディングで支援してくださった多くの方々の力を借りて――ついに「木こり体験の宿 太田屋」が完成しました。


STAY JAPAN:
印象に残っているゲストのエピソードを教えてください!
ホスト:
太田屋として初めてのお客様は、なんと海外からのグループでした。
英語が話せない私にとっては不安もありましたが、通訳の方のサポートを受けながら、気持ちを伝えることに精一杯努めました。日本では、家族や友人同士で旅行するのが一般的ですが、今回のお客様は、前日に初めて顔を合わせたという5人組。初対面同士で七輪を囲み、ジビエの焼肉を楽しみ、同じ部屋で寝泊まりする――そんなスタイルに、驚きつつも新鮮な感動を覚えました。言葉は通じなくても、私も焼肉に招いていただき、笑顔やジェスチャーを交えながら楽しく会話ができました。
伐倒の見学、竈門で炊いたご飯、ヤマメの塩焼き、五右衛門風呂など、薪を使った体験を心から楽しんでくれる姿に、私も自然と笑顔になりました。文化や言葉の壁を越えて、自然の中で生まれたあたたかな交流――それは太田屋にとって、かけがえのない初めての思い出になりました。

STAY JAPAN:
ゲスト受け入れに関して心がけていることはありますか?
ホスト:
木こり体験の宿「太田屋」では、お客様に安心して体験を楽しんでいただけるよう、次の3つのことを大切にしています。
- 安全第一の体験設計
ケガの予防には、丁寧な説明と入念な準備が不可欠です。体験前にはわかりやすく手順を説明し、必要な安全装備を必ず着用いただきます。初心者の方でも安心して参加できるよう、常に安全を最優先に考えています。 - お客様に合わせた「ちょうどいい距離感」
太田屋には、自然に癒されたい方、林業に興味がある方、ただ静かに過ごしたい方など、さまざまなお客様が訪れます。一人ひとりの目的や気分に寄り添い、快適に過ごせるよう、程よい距離感を心がけています。 - 自然の恵みを体感できる場づくり
薪で火を起こし、炭で調理し、木の命に触れる体験を通して、自然のありがたみや命の循環を実感していただけることを目指しています。木を使うこと、自然と共に暮らすことの大切さに気づける場でありたいと考えています。

STAY JAPAN:
きこり体験はどんな方にオススメですか?
ホスト:
● 自然環境に関心のある方、ご家族で自然体験を楽しみたい方
森の中で木に触れ、火を起こし、五感を使って自然を感じるひととき。親子で「自然の中で生きる感覚」を共有できる貴重な時間です。
● 日本の昔ながらの暮らしに興味のある海外の方
薪で炊くごはん、五右衛門風呂、炭焼きなど、日本の伝統的な生活を体験しながら楽しく学べます。
● 薪割りや炭づくりに興味がある方、自然の中で心身をリフレッシュしたい方
木の重みや香り、燃える炎の温もりを肌で感じながら体を動かす体験は、ストレス解消にもぴったりです。
少し不便。でもだからこそ、面白い。
自分の手で“暮らし”をつくる楽しさ、太田屋できっと見つかります。
STAY JAPAN:
きこり体験から学べることはどんなことでしょう?
ホスト:
私たちの暮らしは、スイッチひとつでお湯が出て、料理ができ、お風呂にも入れるほど便利になりました。その一方で、こうした便利さが当たり前になることで、自然の恵みや人の手間に対する感謝の気持ちは、薄れてきているのかもしれません。
「木こり体験の宿 太田屋」では、あえて少し不便な暮らしを体験していただくことで、自然のありがたさや、現代の便利さに改めて気づくきっかけをお届けしたいと考えています。
太田屋では、宿泊に使う熱源の多くが薪や炭。どれくらいの量を使ったか、自分の目で見ることで、そのエネルギーがどれだけの自然資源から生まれているのかを実感できます。例えば、1本の杉が吸収するCO₂量との比較を通じて、森の役割をよりリアルに感じていただけます。
また、オプションで伐倒(ばっとう)見学や炭焼き体験、実際に木を倒す体験もご用意しています。木を切ることは自然破壊ではなく、適切な伐採は森の健康を守り、次の世代へ命をつなぐ大切な行為です。
こうした体験を通して学べるのは、「木を使うこと=森を守ること」という考え方。そして、自然の恵みを受け取るには、人の手間や知恵、時間が必要であるということ。
木に触れ、火を起こし、炭で料理をし、自然と向き合う時間の中で、見えにくかった“つながり”や“ありがたさ”に気づいていただけたら嬉しいです。


STAY JAPAN:
実はきこりのお仕事、こんなところが大変!
ホスト:
最近では機械化が進み肉体労働は軽減されてきましたが、林業は自然を相手にする仕事のため、常に危険が伴います。
夏は猛暑の中での作業、冬は厳しい寒さに耐えながらの作業が続きます。また、春には花粉の飛散で体調管理が難しい時期もあります。
時には、急斜面での作業や重い機械・道具の取り扱いなど、身体的な負担も大きい仕事です。こうした厳しい環境の中で、安全に配慮しながら山を守り続けるのが林業の大変なところです。
STAY JAPAN:
きこりのお仕事のやりがいとは何ですか?
ホスト:
私が伐っている木の多くは、樹齢60〜130年ほど。まさに「おじいちゃん世代」が植えてくれた木です。丁寧に育てられた木は銘木(めいもく)と呼ばれ、高値がつくこともあります。「この木はいくらになるんだろう」とワクワクする瞬間もあります。
一方で、自分が苗木を植え、手入れをしながら育てるようになってからは、木1本1本に込められた“時間”と“想い”の重みをより深く感じるようになりました。
木を伐るというのは、命をいただく行為です。その命を受け継ぎ、次の森を育てていくには、長い時間と根気が必要です。作業中に自分の命の危険を感じる場面もありますし、伐採現場で出会う動植物との関わりからも、自然の中で命同士が支え合っていることを実感します。
そうした経験を重ねるうちに、「自分は自然に生かされている」と感じるようになり、「山には神様がいる」と、自然にそう思えるようになりました。
木を伐らせてもらうことへの感謝。そして、その森の恵みを次の世代につないでいくこと。これこそが、私にとって林業に取り組む意義であり、やりがいなのだと思います。
STAY JAPAN:
ゲストの皆様に、伝えたいメッセージをお願いします!
ホスト:
スイッチひとつで何でもできる現代だからこそ、「あえて不便な暮らし」を体験してみませんか?
木こり体験の宿「太田屋」では、薪や炭を使った自給的な暮らしを通じて、自然の恵みや、現代の便利さのありがたさをあらためて実感していただけます。使った薪の量から、森林の持つ力やCO₂吸収量を肌で感じることもできます。
伐倒見学、炭焼き、薪割りといった体験を通して、「木を使うことが森を守ることにつながる」という林業の本質にも触れられます。
ご自身で割った薪でご飯を炊いたり、五右衛門風呂を沸かしたり——。そんな“手をかける暮らし”の面白さが味わえる宿です。火起こしや安全な薪割りについては、現役の林業家が丁寧にレクチャーしますので、初心者の方でも安心してご参加いただけます。自然と向き合い、自分と向き合う。そんな時間を、ぜひ太田屋でお過ごしください。
いかがでしたか?
きこりのお仕事が少し身近に感じられたのではないでしょうか?そして山を守ることやいのち、自然について思いを馳せるきっかけとなれば嬉しいです。
是非きこりのお仕事を体験しに、お出かけください!