「どこへ行くか」ではなく「どう過ごすか」で選ぶ一泊。大人になった今だからこそ味わいたいのは、その土地の歴史と人の温もりに深く浸る贅沢な時間です。
今回厳選したのは、STAY JAPANで予約できる1泊2名で5万円台からの古民家・一棟貸し。選んだ基準は「食」と「体験」。そこでしか食べられないもの、そこでしかできないことがある宿を集めました。
目次
- なぜ「古民家一棟貸し」に泊まる価値があるのか
- 1. その土地の食が、旅の主役になる宿
- 2. ここでしかできない体験がある宿
- 番外編|城に泊まるという、もう一段上の選択
- たまには、ちょっと贅沢な古民家を貸し切ってみませんか?
なぜ「古民家一棟貸し」に泊まる価値があるのか

ホテルの5万円、一棟貸しの5万円、
価格は同じに見えても実はまったく別のものです。
一見高額に思える価格には、明確な3つの理由が存在します。
ひとつめは、1日1組しか受け入れないこと。
隣の部屋に他の客はいません。ロビーで誰かとすれ違うこともありません。チェックインからチェックアウトまで、贅沢な空間がまるごと自分たちだけのものになります。
ふたつめは、価格の中身が「モノ」ではなく「人と時間」だということ。
地元のお母さんが朝から台所に立って郷土食をつくる。職人がつくった堀こたつ式の囲炉裏で、炭を熾して岩魚を焼く。人がその場にいて、時間をかけるからこそ成り立つもので、その土地に暮らす人が持つ知識や手わざは、他所から買ってくることができません。
みっつめは、泊まることが、その建物を次の世代に残すことにつながること。
築100年以上。こうした家を維持するには、茅葺き屋根を葺き替え、傷んだ柱を継ぎ、土壁を塗り直し続けなければなりません。決して安い作業ではなく、担い手も減っています。放っておけば失われてしまう建物が、宿として使われることで、100年先の未来へ日本の美しい建築文化を残すための大切な支えとなります。
それに、一棟貸しは人数で割ると印象が大きく変わります。1泊7万円台の宿でも、人数が増えれば1人あたり1万円を切ることさえあります。各宿に「2名で泊まったとき」「定員近くで泊まったとき」の目安を載せましたので、あわせて見てみてください。
※料金は時期・人数・オプションにより変動します。最新の空室状況と正確な金額は、予約ページで必ずご確認ください。
1. その土地の食が、旅の主役になる宿
【福島県 耶麻郡西会津町】NIPPONIA楢山集落 聖-HIJIRI-|集落のお母さんたちがつくる郷土食



この宿のコンセプトは「集落に暮らすように泊まる」。福島県西会津町の楢山集落は雪深いエリアに佇む2軒だけの集落。ここでは一泊のゲストも集落の住人として迎えられます。「聖-HIJIRI-」は築120年以上の納屋をリノベーションした60平米のメゾネットで、修験の岩屋をイメージした空間設計。テレビも時計もありません。
食の主役は、地元のお母さんたちによる郷土食のケータリングです。 奥川のコシヒカリは日本屈指の食味と言われるお米。それを、この土地の食材でつくったおかずと一緒に食べます。
食事のあとは、窓の外に星空、雲海、田畑。何もしない贅沢がここにあります。施設内には2棟あり、十五夜-MITSUKINO-は吹き抜けリビングのある納屋を再生した棟(5名まで)、高陽-KAYA-は味噌や漬物を保存していた蔵を再生した棟(5名まで)。どちらも50,600円〜です。

▶︎ 一軒家貸切・最大4名(基本料金は4名まで)
▶︎ 食:地元のお母さんたちによる郷土食ケータリング(朝夕セット7,780円/1人1回)
▶︎ 体験:集落の住人として過ごす
▶︎アクセス:森と水とロマンの鉄道 野沢駅 から バス で 26 分
- 料金目安:50,600円〜/泊(平日・4名まで)
- 2名で泊まると 1人あたり 約25,300円
- 4名で泊まると 1人あたり 約12,650円
【新潟県 妙高市】MAHORA西野谷|堀こたつ式の囲炉裏で、にいがた和牛を



囲炉裏に、足を入れて座れます。新潟県妙高市の「MAHORA西野谷」は築120年の古民家を再生した一棟貸し。地元の職人がつくった堀こたつ式の囲炉裏があり、足を伸ばしたまま炭火を囲めます。土間のキッチンでは自炊も可能。
食の主役は、にいがた和牛のしゃぶしゃぶ・すき焼きです。 囲炉裏を囲んで、雪国の夜に鍋をつつく。さらに地元のお母さんと一緒に郷土料理をつくる体験も用意されています。食べるだけでなく、つくり方ごと持ち帰れる体験です。ほかに組子細工のコースターづくり、着物の着付け撮影も。
そして「耽読庵(たんどくあん)」という名の図書室があります。雪が積もる静かな夜に、古民家で読みかけだった本をゆっくりと読むというのもまた贅沢な時間です。

▶︎ 一軒家貸切・最大8名(基本料金は2名まで)
▶︎ 食:にいがた和牛のしゃぶしゃぶ・すき焼き(12,648円/1人1回)/地元のお母さんと郷土料理づくり(18,400円/1グループ1回)
▶︎ 体験:堀こたつ式の囲炉裏/図書室「耽読庵」/組子細工のコースターづくり/着付け撮影
▶︎ アクセス:北陸新幹線 上越妙高駅 から タクシー で 15 分
- 料金目安:75,900円〜/泊(平日・2名まで)
- 2名で泊まると 1人あたり 約37,950円
- 6名で泊まると 1人あたり 約25,300円
- 3人目以降は1名18,975円/泊
- 6〜12泊の連泊で1日あたり3%割引になります。
【新潟県 佐渡市】佐渡古民家ステイ さどまり 泉の家|世界遺産の島で、新鮮な海の幸をいただく



2024年に佐渡島の金山が世界遺産へ登録され、島を訪れる人が増えました。世界で活躍する建築家・渡辺純氏が手がけた泉の家に掲げられたコンセプトは「古民家 × ラグジュアリー」。小屋組み架構の梁、大黒柱。古民家の骨格を活かしながら、内装は現代の暮らしに合わせて仕立て直されています。
食の主役は、地元の新鮮な海の幸。5名以上であれば佐渡の旬の刺身盛り合わせをオプション注文することが可能です。その他にも佐渡の冬の味覚である、油の乗った寒ブリや、紅ズワイガニなどの買い出しに出掛けて、贅沢なキッチンで捌いて食べてみるのはいかがでしょうか。地域の魚屋さんに足を運ぶ体験は、まるで地域に溶け込むように暮らすように泊まる体験で、新しい発見があります。
同じ「さどまり」にはもう一棟。大和の家は築150年、明治初期に建てられた建物で、佐渡で初めて種痘を施した医師・長野秋甫の生家です。6名まで63,250円〜、最大9名。人数が多いときはこちらを。

▶︎ 一軒家貸切・最大7名(基本料金は4名まで)
▶︎ 食:佐渡の旬の刺身盛り合わせ/島の食材のオードブル・ピザデリバリー
▶︎ 体験:建築家・渡辺純氏が再生した古民家/世界遺産・佐渡島金山めぐり
▶︎ アクセス:両津港からバスで約30分、バス停から徒歩5分
- 料金目安:57,500円〜/泊(平日・4名まで)
- 2名で泊まると 1人あたり 約28,750円
- 4名で泊まると 1人あたり 約14,380円
- 5人目以降は1名10,926円/泊
2. ここでしかできない体験がある宿
【富山県 南砺市】五箇山合掌の里|世界遺産の合掌造りで、囲炉裏を囲む



こちらは世界遺産に、泊まれます。富山県・五箇山の菅沼合掌造り集落は、1995年に白川郷とともに世界遺産へ登録されました。その集落から徒歩5分にあるのが「五箇山合掌の里」。貸し切れるのは江戸時代末期から大正にかけて建てられた合掌造り家屋で、新田家、荒井家、松与門家という3棟が宿として生まれ変わっています。
体験の主役は、囲炉裏での炭火焼きです。 夜は炭を熾して岩魚を焼く。串を立てて、じっくり待つ。それだけの時間が驚くほど濃密です。急勾配の茅葺き屋根、太い梁、煤けた柱。現代的なキッチンやバスルームは備えつつ、合掌造りならではの温もりはそのまま残されています。
合掌造りを「見る」ことはできても、そこで一晩を過ごせる場所は多くありません。観光客が帰ったあとの集落の静けさは、泊まった人だけが知るものです。

▶︎ 一軒家貸切・最大15名(基本料金は5名まで)
▶︎ 食:囲炉裏での炭火焼き(岩魚焼き)/キッチン完備で自炊可
▶︎ 体験:世界遺産の合掌造り家屋を一棟貸切/菅沼合掌造り集落まで徒歩5分
▶︎ アクセス:富山空港から車で約60分
- 料金目安:75,572円〜/泊(平日・5名まで)
- 2名で泊まると 1人あたり 約37,790円
- 5名で泊まると 1人あたり 約15,110円
- 6名目以降は1名7,558円/泊
【兵庫県 神崎郡福崎町】鐵十郎(旧小國家)|1601年築の文化財で、茶道と土塀修復



姫路城が建つ8年前から、この家は建っていました。兵庫県福崎町の「鐵十郎(てつじゅうろう)」。母屋が建てられたのは1601年、築400年を超える国登録文化財です。名前の由来は、この家で生まれた小國鐵十郎。播但一揆の際に農民を助けた地元の英雄です。明治から昭和にかけては地域医療の拠点にもなり、当時の医学書や往診用具が今も館内に展示されています。
体験の主役は、この家で体験することに意味があるものばかり。 着物の着付けのほか、茶道、華道など。なかでも珍しいのが土塀の修復作業体験です。400年の建物を維持する作業を、自分の手で少しだけ引き受ける。泊まることが保存につながるという意味を、いちばん実感できる体験かもしれません。

▶︎ 一軒家貸切・最大8名(基本料金は2名まで)
▶︎ 食:キッチン完備で自炊可/BBQ体験
▶︎ 体験:土塀修復作業(2,530円)/茶道(4,554円)/華道(5,060円)/着物着付け(6,957円)※各1人
▶︎ アクセス:JR福崎駅から姫路駅まで電車で約25分、姫路城まで車で約25分
- 料金目安:71,978円〜/泊(平日・2名まで)
- 2名で泊まると 1人あたり 約35,990円
- 8名で泊まると 1人あたり 約22,090円
- 3人目以降は1名17,457円/泊
- 6泊以上の予約なら1日あたりの料金が10%割引になります。
【新潟県 十日町市】雪の家 古澤邸|築150年の家で、棚田を歩き笹団子をつくる



江戸末期から150年、この土地を見てきた家です。新潟県十日町市の「雪の家 古澤邸」は、199平米の広さを1日1組で貸し切る古民家。修繕が必要な箇所は補いながらも、可能な限り元の姿を残して再生されています。だから、かつてここに暮らした人たちの営みの跡がそのまま残っています。
体験の主役は、季節ごとに変わる里山のプログラムです。 棚田のトレッキング、笹団子づくり、草履づくり。どれも十日町の暮らしから生まれたもので、地域の人たちと関わる時間がそのまま旅の記憶になります。囲炉裏付きのテーブルがあるダイニング、薪ストーブのあるリビング。豪雪地帯の家の造りは、それ自体が知恵の集積です。

▶︎ 一軒家貸切・最大10名(基本料金は2名まで/別途清掃料9,200円)
▶︎ 食:地域食材を使った朝食/囲炉裏付きダイニングで自炊可
▶︎ 体験:棚田トレッキング/笹団子づくり/草履づくり(季節により内容が変わります)
▶︎ 十日町駅から車で15分(最大7名まで無料送迎あり・チェックイン3日前までに要連絡)
- 料金目安:63,250円〜/泊(平日・2名まで/別途清掃料9,200円)
- 2名で泊まると 1人あたり 約36,230円(清掃料込み)
- 10名で泊まると 1人あたり 約16,450円(清掃料込み)
- 3人目以降は1名11,500円/泊
十日町の宿については、姉妹棟「KOME HOME」とあわせて紹介した記事もあります。
▶ 新潟県十日町の一棟貸し古民家「雪の家 古澤邸」「KOME HOME」|雪国で心温まる里山・田舎体験
番外編|城に泊まるという、もう一段上の選択
最後に、古民家ではありませんが、「ここでしかできない」という点ではこの記事のどの宿にも負けません。特別な記念日や、プロポーズの舞台のための、選択肢として。
【長崎県 平戸市】平戸城 懐柔櫓 CASTLE STAY|日本100名城に泊まる



長崎県・平戸城の懐柔櫓は、日本100名城で初めての常設城泊施設です。1日1組限定、119平米の2階建てを完全貸切。圧巻はバスルームで、三面がガラス張り。湯に浸かりながら平戸瀬戸を一望できます。かつて城主が見ていたのと同じ海を、独り占めする時間です。
体験も、城ならでは。 天守閣の貸切、平戸神楽とご祈祷、鎮信流の茶道体験、着付け、乗馬、バレルサウナ。どれも「城に泊まった人だけ」が申し込めるものです。
▶︎ 一軒家貸切・最大5名(基本料金は2名まで)
▶︎ 体験:天守閣貸切(110,001円/1グループ)/平戸神楽とご祈祷(110,001円/1グループ)/鎮信流茶道/着付け/乗馬/バレルサウナ
▶︎ 贅沢ポイント:日本100名城初の常設城泊/三面ガラス張りの浴室
- 料金目安:330,001円〜/泊(平日・2名まで)
- 2名で泊まると 1人あたり 約165,000円
- 5名で泊まると 1人あたり 約99,000円
- 3人目以降は1名55,000円/泊
平戸城については、以下に詳しくまとめた記事もあります。
▶ 世界史の舞台に泊まる。長崎・平戸城 懐柔櫓 CASTLE STAYで叶う 特別な”城泊体験”
たまには、ちょっと贅沢な古民家を貸し切ってみませんか?
集落のお母さんがつくった郷土食を食べる。400年前の土塀を、自分の手で塗る。囲炉裏で岩魚を焼いて、静かで暖かな時間を感じる。自分たちだけの美しい和の空間を貸し切る。
どれも、この場所でしか手に入らない贅沢です。
その土地に人がいて、時間をかけてくれるから成り立っています。
そして宿泊料の一部は、その建物をもう100年先まで残すために使われます。泊まることが、守ることになる。贅沢な一泊には、そういう意味も含まれています。
「暮らすように泊まる旅」が気になる方は、【まとめ編】農泊・古民家で暮らすように泊まる旅|新着おすすめ宿もあわせてご覧ください。毎月新しい宿を追加しています。


